「今日も野草摘み…。つまんない」
「しょうがないよ、リン。誰かがやらなきゃいけないんだから」

高い山々に囲まれた高原の中に存在する集落。其処に住む少女、リンとナナモナは野草を集めに今日も集落の外れまで来ていた。
あまり人と関わりのないこの手の仕事は村人から薄気味悪がられているリンに回ってくることが多かった。

「ねぇ、ナナモナ聞いて、また夢をみたの。この山の向こうには雪が溶けてできた大きな池があったんだ！」
「え～、そんな事言うとまた渡り人だと思われるよ？」
「そんな事…気にしないよ。だって夢は面白いんだよ、山よりも大きな石でできた建物があったりとか！」

この集落に広がる迷信に不安がりながらも、ナナモナは楽しそうにリンの話を聞いていた。
リンもまた唯一夢の話を楽しそうに聞いてくれるナナモナに感謝しつつ自分の話を続けた。

「あ～…いつか山の向こうを見てみたい。絶対、此処とは全然違う新しい世界が広がっているのに…」

リンはそう零すが、この閉鎖的な集落から人が出たということは聞いたことがないナナモナは苦笑いをするだけだった。

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  おかざきおか