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Story

Episode 01
混沌の街

雨がふらなくなり、絶え間ない炎に包まれたその街ではラジオは欠かせない存在だった。

昼の天気予報ラジオではあと1日は火が回ってこない予報だったが、深夜に吹き始めた予想を上回る大風の影響で25区の西側の一帯が火にのまれてしまったことで人々は混乱していた。
迫る火の中、なるべく多くの物を持って逃げようとする人々の脇を一台のバイクが通りすぎる。

「はい、チャーンス! 一気にリスナーかっさらうよウノ!」
「がってん!」

ウノとリンはバイクから降りると付近で一番大きなビルの中へ飛び込んだ。
階段を上りながらウノはピンマイクのスイッチをオンにした。リンはその背負った機械の詰まったリュックサックに電源を入れ、その声を電波に乗せた。
火の巡りを気にしている近隣住民達は2人のラジオへチューニングを合わせ始める。

「あ、どーも、こんばんわ~。ウノだよ~。だいぶ広く燃えててやばいね! 今は西側のアーケードに火がつき始めたから、あと2時間くらいでそのブロックはだめになっちゃうかな~。それと~・・・」

彼女たちはビルの高層階からしばらく実況を続け情報を伝え続け、火の手付近の視聴者はウノの情報を頼りに避難を続けた。
1時間程経過した頃、ウノとリンが居るこの大きなビルにも迫ってき始め彼女たちは避難を始めた。

「そろそろこのビルもやばそうだからウノも避難するね~! ビルが燃えたら崩れたりするかもだから付近で避難している人は気をつけてね~!」
「……ウノ! なにか聞こえる! 子供の声!」
「は、マジ!?」

リンはウノに伝えるとウノはその声の方向に走り始めた。
取り残されている子供を見つけるリンとウノだが、想像以上に時間がかかってしまいもう火の手は間近に迫っていた。

「みんな~、リンちゃ~ん…これはまずいかも…」
「ウノ、見て!」

絶体絶命だと思ったが窓の外を見ると、2人のラジオを聞いていたリスナー達が大きな布をいっぱいに広げている。
一か八か3人はビルから飛び降りる。同時に背後のビルでガス管に引火したのか大爆発が起きる。

「ヒャー!! なにこれ映画みたい~~~!!」
「ウノ、舌噛むよ!!」

3人はリスナーが広げた布に無事落ちることが出来、拍手で迎えられる。
住処に追われ避難を続ける住民たちだがその顔に悲壮感はあまりなかった。

通称”混沌の街”の、よくある日常風景だった。

  • Illustration
    kodamazon