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Story

Episode 02
混沌水槽

内戦が続いていた。
自由を奪われた市民による反抗だった。
しかし国王の強大な権力によって自由の声が消えようとしたとき、ある天才科学者がこの世界を変える装置を発明した。
その名前は混沌水槽。
人々の様々な思想をエネルギーに変換し、そして人々からの支持を得ている人にしか引き出せない装置は暴君に対抗する切り札となった。
量産された混沌水槽は人々の自由を渇望する想いから莫大なエネルギーを生み出し革命軍を大きく助けた。そして長年に渡って圧政を引いてた王政は倒されたのだ!

その後、案の定革命軍は内部分裂して混沌水槽からエネルギーを取り出すために人気取り合戦が始まった。しかも段々と雨が振らなくなり世界中どこかで炎上騒ぎ。
自由を手に入れた世界はただただ混沌だった。


そんな世界の真ん中にある通称「混沌の街」。その25区東側の雑居ビルの上に設置されたミニ混沌水槽で、ラジオから流れるゴシップ番組に向かって悪態をつきつつリンとウノはエネルギーを取り出していた。

『天気予報師が間違えちゃだめだよネ! でもどうやら彼、日頃の生活も良くなかったみたいだネ。僕だけのとこにいくつもタレコミ来てるヨ! やっぱ真面目な人の天気予報しか信用しちゃいけないネ! あの予報士の日頃のアブナイ生活についてはこの後! 独占情報だヨ!』

「なんやこいつ、人のネタで人気取りばっかしてるの腹立つな、XXッ!」
「うっわリンちゃん、お口悪ッ」
「人の悪口は言う癖にわたし達のような英雄を紹介しないのがマジでムカつく」
「そうだよねー、昨日はウノたちすごかったもんね! ん〜、やっぱいつもよりすっごく充電出来てるじゃん!」

いつもなら充電限界を迎えるメーターの値を倍を超えてもまだまだ充電出来る状況にウノは目を輝かせているが、リンの表情は曇ったままだった。
「…でもあと数日ってところかな。そろそろ此処にも火が来るはず。折角集めたリスナーもバラバラかー…」
「え、マジ?」
「マジだよマジ。社長がバッテリー納品したら大事な話があるとか伝言残してきたよ。どうせ一緒に逃げようとかそういう話でしょ」
「ええええ、昨日ので折角いい感じにリスナーも増えたのに!? いーやーだー!!」
「わかってるよ。はぁ…社長脅してでも次のエリアじゃ最初からいいポジション確保しなきゃ…」

二人の間には暗雲が立ち込めているが、チン♪と間の抜けたベルの音がして無事バッテリーの充電が完了した。いつもの12倍の成果だった。

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    kodamazon